かつては勃起に問題がある状態をインポテンスと呼んでいました。しかし、インポテンスというドイツ語は直訳すると 「性的不能」という意味です。人として本来備わっている能力が失われていることを意味し、こうした悩みをもつ患者さんへの思いやりに欠ける言葉だということで、最近ではED(Erectile Dysfunction=勃起障害)という言葉に統一しようとする傾向にあります。
現在、世界の先進国でEDに悩んでいる方は人口の1割いると報告されており、日本でも軽症を含めると900万人以上 いるといわれています。
EDは大きく機能性ED、器質性ED、混合性ED、その他に分けられます。
機能性ED | うつ病などの精神病によるものと心因性によるものがあります。 心因性EDの原因は精神的なストレスで、急激なストレスのため交感神経が緊張し血管が収縮、 また、海綿体平滑筋の緊張の増強により、海綿体への血液の流入が遮断されるために起こると考えられます。 |
器質性ED | 陰茎の支配神経、血管、組織などの障害や内分泌機能障害により充分な勃起が得られない場合です。 |
混合型ED | 糖尿病や高血圧、腎不全、泌尿器疾患などの疾患により、神経や血管、ホルモンが正常に機能せずに起こるものです。 |
その他 | 一部の降圧薬やうつ病治療薬などの副作用としてEDを引き起こす場合もあります。 |
- <EDは年齢が原因?>
- 確かに、年齢を重ねるごとにEDになる確率は高くなっていきます。40〜50代の日本人男性の実に5割以上が EDの悩みを抱えているといわれています。しかし、加齢(老化)は、EDの危険因子のひとつになりますが、 加齢=EDということではありません。
- <EDと基礎疾患の関係>
- EDは加齢とともに増える傾向にありますが、これは加齢とともに心疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症などの基礎疾患が増えることや、これらの基礎疾患を治療するにあたって服用される降圧薬、抗うつ薬、血糖降下剤などの薬剤の使用も影響していることが考えられます。
特に、糖尿病ではEDを合併する率が高く、30%から60%となっています。糖尿病の合併症に神経が障害されるものがありますが、陰茎に神経障害がおこるとEDとなります。また、糖尿病では陰茎動脈の閉鎖が見られ、血管障害による陰茎の血流も低下も原因と考えられます。
- <EDと内分泌系障害>
- 内分泌系障害として男性ホルモンの低下があげられますが、血中の総テストステロンの量は、 60歳から徐々に低下していきますが、遊離テストステロンにおいては、20歳代をピークに徐々に減っていき、
30歳から40歳、60歳から70歳でいっきに低下します。このテストステロンの低下に伴いEDが増加しています。
また、男性ホルモンは、ストレスや敗北感にともない分泌が衰えることもあります。
- <その他>
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● 骨盤外傷、骨盤神経叢に影響を及ぼす手術(前立腺摘出手術等)も中枢神経と陰茎の神経のつながりに影響するためEDを引き起こします。 ● 喫煙、過剰なアルコール摂取も陰茎の血管に影響を及ぼし、十分な血液が流入しないためEDの原因となります。 ● ビタミンE、亜鉛は生殖機能に重要な役割があり、不足するとEDなどの性機能障害が起こるともいわれています。