前立腺肥大とは

男性の膀胱直下にある前立腺は、前立液を分泌して精子に栄養を与えて活動を盛んにする役割を果たしています。通常、前立腺は５０歳を過ぎると肥大が始まり、７０歳以上になると１０人に７人以上は肥大がみられます。年齢と共に前立腺が肥大する原因は不明ですが、男性ホルモンが関係していることはほぼ確実です。　

前立腺の機能は男性ホルモンによって調節されており、男性ホルモンの一つであるテストステロンが増える思春期になると前立腺は大きくなり、分泌機能が盛んになります。20才〜30才では、前立腺の大きさ及び機能はピークになり、その後40才前半ぐらいまではその大きさに変化はありません。 しかし40才後半になると再度大きさが増してくる人がいます。40才後半ぐらいから再度増加する前立腺の原因は、前立腺内領域のうちの移行域および尿道周囲域とよばれるところに前立腺肥大結節というものができるからであると言われています。

この前立腺肥大結節は腺成成分を主体とし、それにコラーゲン繊維と平滑筋繊維などの間質成分が混ざり合った良性の腫瘍であり、男性に一般的に見られる加齢現象の一つであると考えられています。

最も典型的な症状は、男性の尿道をとりまく前立腺が肥大することで、尿道を圧迫し、排尿障害を起こすことです。症状は３段階に分けられます。

第１期（膀胱刺激期）	尿回数が増加する（特に夜間） 尿が間に合わない感じがする（尿意切迫） トイレに着く前に尿が漏れてしまう（切迫性尿失禁） 軽度の排尿困難 トイレに行ってもすぐに尿がでない（遷延性排尿） 尿をしている時間が長い（苒延性排尿）など
第２期（残尿発生期）	お腹に力を入れないと尿が出ない 残尿（５０〜１００ｍｌ） 昼間の頻尿 尿閉突然出現（お酒を飲んだあと，長時間座ったあと，極度に緊張したときに現れやすい）など
第３期（慢性尿閉塞期）	膀胱の収縮力が低下し，排尿したり，尿意を催すことが低下する 尿がだらだらもれる（溢流性尿失禁）など

　

前立腺肥大に伴う排尿異常を放っておくと、腎盂腎炎や水腎症（腎盂に水が溜まる病気）などを合併し、腎臓障害を起こす恐れがあります。年のせいだと判断せずに、早めに泌尿器科で診察を受ける必要があります。