その他いろいろな説がありますが、実際には、老化はこれらの原因がいくつも重なり合って起こると言われています。 ●老化は消化管から ロシアの微生物学者、エリー・メチニコフは、1900年代初頭にヒトの健康状態は消化管内に生息する微生物の調和にかかっているとの学術的見解を発表しています。すなわち消化管内微生物が良好なバランスを保っているとき、私たちは”orthobiosis”(オルトビオシス、正しい健康状態)にあり、バランスを崩したときには”dysbiosis”(間違った健康状態)となる、と提唱しました。「老化は消化管から!」は最初にメチニコフが使った表現です。その後メチニコフは生体内の免疫機能と消化管内細菌の関連についての研究を評価され、ノーベル医学・生理学賞を受賞しています。 腸内細菌は乳幼児期にはビフィズス菌が多いのですが、老年期になるとビフィズス菌は少なくなり、逆に腐敗菌などの有害菌が増え有害菌優勢の状態になります。また、健康な人の腸内には、ビフィズス菌をはじめとする様々な細菌が、バランスよく住みついています。しかし健康がそこなわれると、そのバランスが崩れ、特に大腸菌などの有害菌が増加してきます。有害物質を作る細菌が増加し、その有害物質でますます老化が促進されます。つまり、人間が健康である為には、腸内細菌のバランスが大切なのです。 腸内環境悪化の影響は皮膚に顕著に表れます。美容や皮膚のためには、腸内環境の手入れも欠かせない条件です。 また、若い人たちの中に、便秘、肩こり、イライラといった不快な症状を訴えるだけでなく、高血圧、高血糖など、本来なら中高年がかかる生活習慣病(成人病)に悩む人が増えています。 これには、腸年齢が大きくかかわっていると言われています。実際の年齢は20代であっても腸年齢は60代・70代で、腸内の善玉菌が著しく少なくなっている人が目立つようになっています。 また、免疫も腸内の環境に関係しています。 腸の内側に「微じゅう毛」と呼ばれる小さな突起がたくさんあります。ここに腸管リンパ装置という免疫器官が存在し、全身の30%の免疫細胞が集まっています。腸内の細菌と腸管免疫システムは密接な関係があり、善玉菌が優性の時は免疫力は高まり、反対に悪玉菌が優勢になると下痢や便秘などの腸のトラブルを引き起こすだけでなく、免疫機能も低下すると言われています。